2017年11月09日

「第4回 静岡がんと生殖医療ネットワーク講演会」

 H29.10.28(土) 14:30から浜松で、「第4回静岡がんと生殖医療ネットワーク講演会」が行われましたので、参加して来ました。

今回のテーマは小児・若年がんを中心としたものでした。
今の医学は進歩しており、小児がんの生存率は約80%に達しています。そのため、がん対策とは別に、緩和ケアとして痛みや将来の妊孕性温存についても考えるようになっています。

静岡でもH27年よりがんになられた方もしくは治療をされた方に対して、今後の妊孕性温存や妊娠・出産についての情報を提供するため、そして医療機関同士のネットワーク構築を目的として作られたSOFnetという会があり、今まで連携がされにくかったがん専門の先生たちと不妊専門の病院との連携がされ始めてきました。

そして、Li-Fraumeni症候群についての話題が出ました。
これは、世界での報告は400家系に満たないものですが、多様な部位から生ずる若年性の遺伝性のがんで、優性遺伝のため高い発症率があります。そのため、いろんな医療機関でその方やご家族の状態を把握し、情報を共有していくことが、今後必要になっていくと感じました。

今日本では、半分の方ががんになります。
がんになられることはとても辛い事だと思います。
しかし、その先の事を本人、家族、複数の医療機関とで相談・連携し、よりその方の納得された治療方法を選択できればと思います。

下記にいくつかHPを記載します。
参考にしていただけたらと思います。

@H29.10.24 国会で「第3期がん対策推進基本計画」が閣議決定されました。
こちらに小児がん、AYA世代のがんについて、そして、治療後の長期フォローアップや緩和ケアが明記されました。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000183313.html

A「がん情報サービス」
http://ganjoho.jp/public/index.html

B「SOFnet」
http://www.sofnet.info/index.html
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2017年11月07日

第20回日本IVF学術集会

 IVF学会.jpg
 こんにちは、培養室です。今回は、2017年9月30日〜10月1日に開催された第20回日本IVF学術集会に参加しました。開催地は、宮城県の仙台にあるホテルメトロポリタン仙台で、当院から6時間ほどかかりました。
 今大会のテーマは「Challenge to Excellent ART」と題されており、ARTにおいて様々な最新の技術や知見の報告がなされていました。今回は、着床前診断、特にPGS(着床前スクリーニング)に対する発表が多いように感じました。
 PGSとは、胚盤胞の一部を採取し、染色体の数的異常を調べ染色体数に異常がない胚を選択し、移植に用いる技術です。
 日本では、倫理的な面からPGSは「命の選択」を行う行為と言われているため、PGSの臨床応用は極めて制限されています(日本産婦人科学会)。
 そのため、現在、ARTにおけるPGSの使用に対して様々な意見が飛び交っています。本大会でも、様々な視点からPGSに関する発表がいくつもされていました。
 例えば、生殖医療の観点からPGSを見た意見では、海外ではPGSを通常検査として用いている(ARTの40%近くでPGSを使用)ことに対して、日本の今の状況は「蚊帳の外」であり、日本のARTでもPGSを取り入れることが重要ではないかという発表がありました。
 一方で、PGSを倫理と道徳という観点から考えた場合の発表もありました。その発表では、人間が生きていく上で支えとなる「倫理と道徳」は、「統治の倫理」と「市場の倫理」と呼ばれる根本的に異なる価値体系が存在していて、この2つの倫理はそれぞれ独立して存在するべきであり、混同されるべきではありません。演者によると、医療は「統治の倫理」に分類され、PGSは「市場の倫理」に分類されます。つまり、医療でPGSを用いることは異なる二つの倫理を混同し、道徳的腐敗を引き起こしているものであるとして、PGSに対して否定的な意見を示していました。
 また、細胞遺伝学的の分野の観点からの発表もありました。ヒトの流産の原因の約70%は、染色体の異常であることが明らかにされています。そこで、染色体の異常を明らかにするためにPGSを用いて様々な実験が行われてきました。近年、一つの胚に正常な染色体数を持つ細胞と異常な染色体数をもつ胚(モザイク胚)の取り扱いが問題にされています。モザイク胚の約40%は、着床後妊娠を継続するという報告があります。しかし、胎児の発育や生存に関わる染色体にモザイクがある細胞を持っている胚の存在など、結果的に流産に繋がる可能性があることも明らかにされています。これらのことから、PGSの使用は、十分に注意して行う必要があるとしていました。
 このように、PGSについては現在、賛否両論であり今後どのように判断されるかは分からない状態となっています。そのため、日本でのPGSの臨床応用には、まだまだ時間が必要になりそうです。
posted by kl at 09:04| Comment(0) | 日記