2018年06月19日

第15回 日本生殖心理学会・学術集会

 こんにちは、培養室です。
 2018年2月25日に東京の都市センターホテルで開催された「第15回 日本生殖心理学会・学術集会」に参加しました。この学会では、実際に治療にあたる医師だけでなく、患者さんと接する機会の多い看護師や、精神的サポートを担う生殖心理カウンセラーなど、それぞれの立場から患者さんへの支援についてのお話を聞くことができました。

 年々、医療の進歩によりがんを克服する患者さんが増えつつあると同時に、がん生殖医療が発展してきています。がん患者さんはがん治療のため化学療法や放射線療法を受けます。その結果、卵巣や精巣はダメージをうけ、妊娠する力である妊孕性が低くなることがあります。
 この妊孕性を温存するため、がん治療を開始する前に、女性では卵子・胚または卵巣組織、男性では精子を凍結保存し、がんが治った後、妊娠を望めるようにするのが「がん・生殖医療」です。
 また、妊孕性温存への取り組みだけでなく、がんを治療された方(がんサバイバー)の治療後のホルモン状態の定期的な確認、もしくは不妊治療のサポートも行っています。そして、残念ながら子供が欲しくても授からなかった方に、子供をもつ一つの選択肢として、里親・養子縁組の制度の情報提供を行うことや、また、子供を持たない選択に関するケア、患者さんの家族へのサポートも行われています。

 がん患者さんはがんの告知を受け、精神的な負担が大きい中で、同時に自らの妊孕性温存について考えなければなりません。
 そのような大きな精神的ストレスの中、短期間で意思決定を迫られている患者さんに対し、わかりやすい言葉で理解しやすい情報提供や、質問しやすい環境づくりをすることで、心理的な負担を和らげることが大切だと思いました。
 医療従事者による心理的支援、心理士による心理カウンセリング、多職種・他施設の連携を充実させることで、患者さんと医療従事者がお互い歩み寄り納得してよりよい意思決定ができるような体制をつくることが重要であると感じました。


posted by kl at 16:17| Comment(0) | 日記

2018年06月14日

日本A-PART 学術講演会 2018

 こんにちは、培養室です。
 今回は、2018年3月25日(日)に開催された「日本A-PART 学術講演会」に参加しました。
会場は、東京の「ハイアットリージェンシー東京」で開催されました。
 この大会では、3つのシンポジウム、2つの教育講演そしてランチョンセミナーが行われました。
各演題を発表された先生方は、各分野のプロフェッショナルであり、とても有意義な大会に
参加できたと感じました。
 本大会では男性不妊治療や再生医療、ガンと妊孕能などについての発表があり、その中でも
男性不妊治療の発表に関心を持ったため、今回はこちらを紹介します。
 日本では、10~15%の挙児希望カップルが不妊症で悩んでいます。不妊症の原因として、
半分は男性が関与していると考えられています。しかし、不妊症について受診する方の多くが
女性であり、受診による男性因子の特定はされないことが大半です。
 現在、女性の不妊治療と比べて男性の不妊治療は、大きく遅れています。その理由として、
大きく2つにわけることが出来、一つ目は、男性自身が検査もしくは治療を受けないこと。
二つ目は、女性の不妊治療の分野と比べて、男性の不妊治療の分野が進んでいないことが挙げられます。
そのため、男性不妊の原因の83.4%は造精機能障害(原因不明)とされています。
 しかし近年、質の悪い精子のART成績が低いことが示されていて、このことから、男性不妊治療の
重要性が叫ばれています。
 
 今回の公演では、男性不妊の検査について基礎的な内容を示していました。
 ・禁欲期間について:2~5日であり、原則院内採精(持ち込みだと、移動中に精液所見が悪化する
           可能性があるため)
 ・検査回数について:2回以上(男性はその時の状態で、精液所見が変化するため、複数回検査
           する必要がある)
 ・生活習慣と男性不妊について:BMIが増加することで、乏精子症(精子濃度が500万/ml以下)
                になりやすくなる
 などの基礎的な内容について講演されていました。
 
 以前から言われていた事ではありますが、改めて、これらの事をきちんと守って治療する大切さに
ついて話されていました。
 男性の不妊治療と聞いても、あまり想像できないと思います。しかし、不妊の因子を持つのは、
女性も男性も同じです。現在、日本における男性不妊専門の泌尿器科のクリニックは、女性不妊専門
クリニックと比べて、とても少ない状況にあります。そのため、男性が不妊で悩まれ、受診を検討
されているようでしたら、男性不妊について検査できるかどうか調べてから、受診されることを
お勧めします。
 この発表を通して、男性不妊への関心がより高まってほしいと感じました。今後も、男性不妊の
発展を願いたいと思います。
posted by kl at 14:51| Comment(0) | 日記