2018年12月07日

第21回 日本IVF学会

こんにちは、培養室です。

10月27、28日に名古屋で開催された、日本IVF学会学術集会に参加しました。

今回の学会は学術集会ではありますが、より臨床に沿った発表が多く、今回得たことを診療や培養でも取り入れやすい発表が多かったです。
 その中で今回私が興味を持ったものは、「体外受精反復不成功(RIF)症例に対する我々の取り組み」という発表です。

RIFの国際的な定義はなく、今回発表された方の医院では「4個以上の良好胚を、3回以上移植を繰り返しても妊娠しない40歳以下の女性」とし、着床に至らない原因の因子や対策に対して話されていました。
 その原因の一つに免疫学的因子があります。

妊娠は父性抗原をもつ胚に対する攻撃(拒絶)と攻撃抑制(寛容)のバランスを保つことで正立していますが、このバランスが崩れると流産や着床障害になる可能性も出てきてしまいます。

 そのため今回、これらを数値化し、必要な方に移植2日前から免疫抑制剤を服用してもらうことにより、妊娠率や生児獲得率が優位に高い値を示すことができたようです。

 この免疫抑制剤は今年の6月に厚生労働省が妊娠中の服用を許可したばかりの薬であるため、今後の更なる研究やデータを元に参考にしていきたいと思いました。
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2018年10月25日

第17回 生殖バイオロジー 東京シンポジウム

 第17回 生殖バイオロジー 東京シンポジウム

 こんにちは、培養室です。
 2018年8月19日に、東京ガーデンテラス紀尾井カンファレンスで開催された、「第17回 生殖バイオロジー 東京シンポジウム」に参加しました。

 現在、世界的には本格的にPGSの時代をむかえつつあり、胚の染色体を検査して結果を確認した上で、胚を移植することができます。しかし、染色体が正常な胚を移植しても、3分の1は妊娠に至らない現状があり、着床および妊娠維持機能をより高めていくことが改めて見直されつつあります。今回の講演ではこのような内容が多く発表されていました。

 中でも印象に残った講演は、「Cine MRIから探る生殖機能」です。Cine MRI(シネマトグラフィMRI)は、画像を動画化して、臓器を動的に観察できる技術です。
 このCine MRIを使い、非妊娠時の子宮の動態が、月経周期に応じてどのように変化しているのか解析していました。
 その結果、不妊原因が不明な方では、特に着床期で、本来の動きと比較して、子宮の収縮の頻度が高いことがあり、それにより妊娠率が下がると考えられるため、抗コリン薬を投与することで、子宮の収縮を減らし、妊娠率を上げる治療をしていると報告がありました。

 子宮の動態、収縮が妊娠に関与している可能性があると推測されるため、妊娠率を上げるためにも、これから注目されていくのではないかと感じました。

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2018年08月24日

第36回 日本受精着床学会

こんにちは、培養室です。

今回は、2018年7月26日、27日に幕張で開催されました、「第36回 日本受精着床学会 学術総会」に医師と培養士とで参加してきました。

 災害レベルといわれる蒸し暑い日でしたが、年々培養士が増えることによって、他院の培養士さんとの情報交換がより盛んになり、尚且つ講演も興味深いものも多かったため、時間がいくらあっても足りないと感じるくらい、とても有意義な時間をすごせました。

 その中でも、今回私が興味を持ったものは、「環境ホルモンと生殖・次世代への影響」という講演でした。

 近年、便利な生活になった一方、内分泌攪乱物質(環境ホルモン)を含む多彩な化学物質が生活のいたるところに存在しています。
 環境ホルモン作用を持つポリ塩化ビフェニル(PCBs)は絶縁体、熱媒体として多様な物に使用されていますが、残留性、生物蓄積性などから、製造、輸入、使用が禁止されているようです。
 しかし、今も私たち全員の血液から検出されています。

 私たちはPCBsを9割以上食事由来から摂取していますが、臍帯からも検出されるため、胎児へ母子間移行が行われたり、母乳によっても、子へ暴露されることが知られています。

 環境要因由来により、アレルギー・喘息の増加、脳神経発達異常の増加、小児肥満などがいわれており、このことが直接、不妊治療とは関係がないように感じられますが、その他にも、男性の精子濃度が低下、男女ともに思春期早期化などが起き、男性は、精巣が従来より早く重くなるため、ピークが早く、そして早めに低下(40代位、従来は60〜70歳代)してきています。これは、精巣の成熟と衰退が早まっていることを示唆する結果だといえると思います。
 
 その他にも、複合影響として、3世代まで影響が残ってしまうものや3世代目で影響が出始めるものなど、があるようです。
 
 今回のこの発表は母乳より人工ミルクを推奨しているというものではなく、母乳には栄養が豊富なため、いいこともあるが、このようにデメリットもないわけではない、という位の捕らえ方で良いとの事でしたので、付け加えさせてもらいます。

 私たちは、当たり前のように化学物質であふれた生活を送っていますが、今年の異常なまでの暑さも踏まえ、環境について一人ひとりがもう一度、何ができるか考えてみることが今必要とされていると、感じられました。
posted by kl at 16:51| Comment(0) | 日記