2018年06月14日

日本A-PART 学術講演会 2018

 こんにちは、培養室です。
 今回は、2018年3月25日(日)に開催された「日本A-PART 学術講演会」に参加しました。
会場は、東京の「ハイアットリージェンシー東京」で開催されました。
 この大会では、3つのシンポジウム、2つの教育講演そしてランチョンセミナーが行われました。
各演題を発表された先生方は、各分野のプロフェッショナルであり、とても有意義な大会に
参加できたと感じました。
 本大会では男性不妊治療や再生医療、ガンと妊孕能などについての発表があり、その中でも
男性不妊治療の発表に関心を持ったため、今回はこちらを紹介します。
 日本では、10~15%の挙児希望カップルが不妊症で悩んでいます。不妊症の原因として、
半分は男性が関与していると考えられています。しかし、不妊症について受診する方の多くが
女性であり、受診による男性因子の特定はされないことが大半です。
 現在、女性の不妊治療と比べて男性の不妊治療は、大きく遅れています。その理由として、
大きく2つにわけることが出来、一つ目は、男性自身が検査もしくは治療を受けないこと。
二つ目は、女性の不妊治療の分野と比べて、男性の不妊治療の分野が進んでいないことが挙げられます。
そのため、男性不妊の原因の83.4%は造精機能障害(原因不明)とされています。
 しかし近年、質の悪い精子のART成績が低いことが示されていて、このことから、男性不妊治療の
重要性が叫ばれています。
 
 今回の公演では、男性不妊の検査について基礎的な内容を示していました。
 ・禁欲期間について:2~5日であり、原則院内採精(持ち込みだと、移動中に精液所見が悪化する
           可能性があるため)
 ・検査回数について:2回以上(男性はその時の状態で、精液所見が変化するため、複数回検査
           する必要がある)
 ・生活習慣と男性不妊について:BMIが増加することで、乏精子症(精子濃度が500万/ml以下)
                になりやすくなる
 などの基礎的な内容について講演されていました。
 
 以前から言われていた事ではありますが、改めて、これらの事をきちんと守って治療する大切さに
ついて話されていました。
 男性の不妊治療と聞いても、あまり想像できないと思います。しかし、不妊の因子を持つのは、
女性も男性も同じです。現在、日本における男性不妊専門の泌尿器科のクリニックは、女性不妊専門
クリニックと比べて、とても少ない状況にあります。そのため、男性が不妊で悩まれ、受診を検討
されているようでしたら、男性不妊について検査できるかどうか調べてから、受診されることを
お勧めします。
 この発表を通して、男性不妊への関心がより高まってほしいと感じました。今後も、男性不妊の
発展を願いたいと思います。
posted by kl at 14:51| Comment(0) | 日記

2018年01月15日

第62回 日本生殖医学会学術講演会

 こんにちは、培養室です。今回は、2017年11月16日〜17日に開催された、第62回日本生殖医学会学術講演会に参加しました。会場は、山口県下関市の「海峡メッセ」と「ドリームシップ」の二か所に分けて開催されました。今大会のテーマは、「生殖医療の潮流を読み解き、幸多き未来へ」です。
 今回、様々な発表や公演、企業展示などを通じて、ARTに対する新たな技術の開発や導入に重点が置かれ始めているように感じました。
 ARTにおいて凍結技術(胚や精子)は、もはや無くてはならない技術の一つです。例えば胚の凍結を行う場合、培養士が胚を一つ一つ丁寧に凍結します。そのため、多数の胚を凍結保存する場合、時間が必要となります。また、凍結技術を習得していない者は技術習得に費やす時間も必要になります。そこで、メルクセノール社が全自動で胚の凍結を行う機械を作成し、発表を行っていました。この機械では、一度に多数の胚を凍結することが可能であり、凍結にかかる時間を短縮することが出来るとしていました。実際に臨床で使用した結果、培養士の凍結技術と差は見られない結果となりました。この発表に対して、確かに機械による胚凍結は素晴らしい技術だと思います。しかし、不意なアクシデントが起こったとき、それに対処できないことを考えると臨床応用には時期尚早のように感じました。
 また現在、受精卵の発生を動画で観察する技術(タイムラプス)をARTに応用しています。今大会の公演では、更に卵子や胚の細胞内変化を、細胞に影響を与えず観察することについて検討されていました。細胞内変化を観察する方法として、細胞に目的の蛍光タンパク質(特定の波長の光を照射することで光るタンパク質)を作らせることで、実際に確認する方法があります(ライブセルイメージング法)。しかし、この技術は、細胞に人為的に目的のタンパク質を作らせる必要があります。また、特定の光を照射することによる細胞への影響も考慮しなければなりません。上記のことから、ARTへの応用は不可能とされていました。
 そこで、細胞に対して非常に影響の少ない方法で細胞内変化の動きを観察する技術の確立を目指した報告がありました。現在は、企業と提携して研究を行っている段階であり、詳細な内容は発表されませんでした。この技術が確立すれば、例えば、染色体の形や数、動き方などを顕微鏡で実際に観察することができ、胚の選択にも応用できる可能性も示していました。
 日々、ARTは進歩しています。その中でも、ARTで使用する技術の進歩は劇的であり、素晴らしいことでもあります。しかし、どんな技術でも欠点はあり慎重に考えることでもあると、今大会を通して感じました。
posted by kl at 12:50| Comment(0) | 日記

2017年11月09日

「第4回 静岡がんと生殖医療ネットワーク講演会」

 H29.10.28(土) 14:30から浜松で、「第4回静岡がんと生殖医療ネットワーク講演会」が行われましたので、参加して来ました。

今回のテーマは小児・若年がんを中心としたものでした。
今の医学は進歩しており、小児がんの生存率は約80%に達しています。そのため、がん対策とは別に、緩和ケアとして痛みや将来の妊孕性温存についても考えるようになっています。

静岡でもH27年よりがんになられた方もしくは治療をされた方に対して、今後の妊孕性温存や妊娠・出産についての情報を提供するため、そして医療機関同士のネットワーク構築を目的として作られたSOFnetという会があり、今まで連携がされにくかったがん専門の先生たちと不妊専門の病院との連携がされ始めてきました。

そして、Li-Fraumeni症候群についての話題が出ました。
これは、世界での報告は400家系に満たないものですが、多様な部位から生ずる若年性の遺伝性のがんで、優性遺伝のため高い発症率があります。そのため、いろんな医療機関でその方やご家族の状態を把握し、情報を共有していくことが、今後必要になっていくと感じました。

今日本では、半分の方ががんになります。
がんになられることはとても辛い事だと思います。
しかし、その先の事を本人、家族、複数の医療機関とで相談・連携し、よりその方の納得された治療方法を選択できればと思います。

下記にいくつかHPを記載します。
参考にしていただけたらと思います。

@H29.10.24 国会で「第3期がん対策推進基本計画」が閣議決定されました。
こちらに小児がん、AYA世代のがんについて、そして、治療後の長期フォローアップや緩和ケアが明記されました。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000183313.html

A「がん情報サービス」
http://ganjoho.jp/public/index.html

B「SOFnet」
http://www.sofnet.info/index.html
posted by kl at 10:10| Comment(0) | 日記